フィギュア王 234号『トランスフォーマー映画を10倍楽しく見る方法!?』の雑感

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久しぶりにフィギュア王買いました。

だらだらと雑感を書いてみます。

 

久しぶりにフィギュア王を読んで思ったこと

 雑誌全体をざっと見ると、ガンダムがほぼ載っていません。ホビージャパンとは対照的です。まあ下手に競合しても仕方ないですしね。電撃ホビーマガジン休刊しましたし。ネットでワンフェスとかの話題も美少女フィギュアが中心に感じますが、これも扱いは大してないんですね。意外かも。

バンクナンバーがどこにあるのか判らないので、何年ぶりに買ったかは判らないのですけど、前回も同様にトランスフォーマー特集のあった号である事は確実です。それ以外で買う動機もありませんので。

今でこそこんなんですが、この雑誌、10数年前は毎月買っていました。あの頃はこの手のマニア向け雑誌はほぼスルーされるトランスフォーマーのページが常設されており、なによりG1時代からの海外TFの玩具が時系列に沿って紹介されていました。

海外の情報がネットで容易にチェックできる今では想像し辛い所でありますが、当時はまだまだネットも充実しておらず、これぐらいでしか知る事ができなかった訳です。

出版社は異なりますが、当時のフィギュア王での連載を一纏めにしたような本『トランスフォーマー ジェネレーション』が発行された事で、自分にとってフィギュア王を買う動機を失い、その後も惰性で買い続けてはいたものの最終的には定期購読を止めた次第です。

トランスフォーマージェネレーション デラックス

トランスフォーマージェネレーション デラックス

 

今では同名のカタログ本が毎年、年鑑のように発売されていていい時代になったものです。 

 

とまあ無駄に前置きが長くなりましたが、ともあれフィギュア王 234号の特集についてです。

 

特集の内容

  • 見開きの見出し 2ページ
  • 最後の騎士王の映画紹介 2ページ
  • 最後の騎士王を中心とした玩具紹介(レジェンズ含む) 4ページ
  • threeAのアクションフィギュア紹介 2ページ
  • PRIME1のスタチュー紹介 2ページ
  • トランスフォーマーの歴史 1ページ
  • 初代TFのアニメ設定資料集 11ページ
  • ヴィレッジブックスからでるアメコミ和訳本の紹介 2ページ
  • 餘家英昭インタビュー 2ページ

…とまあ28ページという大ボリュームの特集となっています。

個人的にピックアップしたいのは玩具紹介ページにあった開発スタッフのコメント、アニメ設定資料集、餘家英昭インタビュー辺りです。

タカラトミー開発スタッフからのメッセージ

「最後の騎士王シリーズ」担当

劇場版の玩具はオートモーフやメックテックなどの独自ギミックを導入してきたが、今回はシンプルに変形に重点を置いた。

これは前作であるロストエイジも同様でしたね。ロストエイジ、最後の騎士王共に3年ぶりの劇場玩具でしたの再び原点回帰となったんでしょうか。

グリムロックなどロストエイジからの流用玩具も多いのが残念ですが、トイザらス限定で発売されたヴォイジャークラスのオプティマスやメガトロンなど新規で作られた玩具は変形難度、プロポーション共に優秀なのは良かったです。

リーダークラスのオプティマスプライムアーマーナイトで完成したと思っている。

肩の処理をヴォイジャークラスみたくできないんですかねぇ…。

今回立体化された斧や盾はどちらもダークサイド・ムーンで使用されたものというのは心憎いです。

取扱店舗は倍近くになった

マジで!?

「マスターピースムービー」担当より

バンブルビーハスブロからの企画。グローバルワンアイテムという前提だった。

今年、先行して発売された「ムービー・ザ・ベスト」の玩具展開は国内独自のものでしたし、ハスブロの方からこの手のマニア商品の企画というのは珍しいので意外でした。

世界共通の玩具として発売する為に、安全基準・コスト・スケジュール・素材・対象年齢などの条件が厳しかった。

 この辺りは、かつての30年前のTF2010でも海外の安全基準に悪戦苦闘した事がありましたね。従来のレギュラーシリーズは年数を重ねて改善されましたけど、こういったマニア向け商品は日本市場のみを前提としたものが多かっただけに、海外市場での玩具開発には設計だけでなく、こういった要因も考慮しなければならない事が伺えます。

劇場玩具にありがちなロボットモードで背負い物を全くない状態にできた。

ガルバトロンオプティマスの巨大な背負い物はガワ変形の宿命みたいなものでした。劇場版のデザインは開発スタッフ泣かせです。

 「レジェンズシリーズ」担当より

レジェンズシリーズは長期シリーズになった

私的にはレジェンズはユナイテッドやジェネレーションズからの流れを汲んでいると思っていますが、サブタイトルを変更しているのはどういう事情があるんでしょう。

ダイナザウラーは海外版との違いは少ない、スーパージンライみたいなケースは国内仕様として大幅なアレンジをする。

TF2010まではアニメが共通でしたので、妥当な判断といった所でしょうか。正直、仕様の違いからスーパージンライ(パワーマスター オプティマスプライム)やフォートレスマキシマスの海外版を買ってしまった身としては仕様が変わらないのは有り難いところです。

戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー アニメ設定資料集』

今回の特集で尤もページが割かれています。実写劇場版に登場したキャラクターを中心にチョイスしているので、資料性としては弱いかなと思いました。日本では網羅された設定資料集は出ていませんが、海外では発売されていますので、気になる方にはオススメします。

Complete Transformers Ark

Complete Transformers Ark

 

 それ以外に、不完全変形のメトロフレックスやクレーン車、コンボイやメガトロンの変形パターン参考集などのマニアあたりが興味を示しそうなものもあります。

まぼろしの改訂稿デザインを発掘!!

恐らくは、今回の特集で最大の目玉でしょう。

初期画稿も掲載されているので、その違いを見比べるのが面白い所です。初期画稿ではタイヤなどの玩具デザイン要素を残していましたが、改定稿で削除もしくは目立たなくする処理がされているのがパッと見で判る所でしょうか。

メガトロンの改訂稿デザインはテレビCMや最初期のマーベルコミックなどでも使用されているので比較的ポピュラーなイメージがありますね。


Marvel Comics Transformers #1 1984 Commercial

また、コンボイにも下腿部にタイヤが残っているので改訂稿デザインを元にしているのが判ります。

 

メガトロンの頭部が玩具と大幅に異なるのは、おそらく玩具からデザインを興した訳でなく、ミクロマン時代に描かれたイメージイラストを元にしているのでしょう。多分。玩具では脇にある砲身が背中にあるのも共通しています。

 

 餘家英昭インタビュー

私的には一番の目玉です。初期の頃からの玩具開発者であり、トランスフォーマー アニメイテッドに登場したヨケトロンのネーミングはこの方から来ている事でも有名です。

内容的にはしばしば、インタビューを受けることがある大野光仁氏が語るものと被る部分もありますが今回初めて知った部分を挙げていきたいです。

85年末にドルショックによる急激な円高があり、国内生産では採算がとれなくなった為、急遽、海外で生産する事になった。その為に、それまで開発に協力してもらっていたメーカーとの関係を解消した。

プラザ合意による円高ですね。この辺りは「タカラの山」で知った所です。

 玩具開発に他社メーカーも関わっていた事は珍しくないようで、先月発行された「ダイアクロンワールドガイド」にもロボットベースやバトルコンボイの試作モデルは日光玩具が担当している事が触れられ、開発者インタビューも掲載されています。

2010以降のG1玩具(主に海外向け)でお粗末なのが多かった一因がこういった下支えを失った所にあるのでしょう。

「タカラ」の山―老舗玩具メーカー復活の軌跡

「タカラ」の山―老舗玩具メーカー復活の軌跡

 
ハスブロから劇場版(トランスフォーマー ザ・ムービー)の制作が伝えられ、ハスブロの方からデザインを指定した玩具開発をする事となった。タカラでの玩具開発はコスト、仕様、納期などにある程度の融通が利いたが、ハスブロでは厳格になった。

前述したドルショックに加え、ハスブロとの協業体制という形になった事による現場の混乱が伺える所です。こういった外的な要因が玩具のクオリティダウンに繋がったのでしょうね。

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画像はブラーのレジェンズ版(左)とG1版(右)。G1版の大味さが伺えます。

 

今回のインタビューでは触れられてなかったですが、日本より厳しい安全基準に対するさじ加減が判らず、玩具そのものを大味にせざるを得なかったようです。

(ザ・ヘッドマスターズ以降は日本独自の展開になった事に対して)米国と日本で同時に売ろうというのは無理があった。日米では商習慣も嗜好も異なるので、そうせざるを得なかった。

個人的には海外でのTVシリーズが終了したのが一番の要因にも感じます。元々、日本では1年遅れでスタートしたシリーズでしたが、放送形態の違いもあって2010放映当時にはほぼ追いついてしまっています。ウィキペディアをみる限りでは最終回時点でのタイムラグは4ヶ月程度にまで縮んでいます。まあ、北米では最終エピソードとなる29、30話は28話放送後の3ヶ月後という特異なケースでした。

続いて続編のザ・リバースですが、このアニメが放送されたのは日本のザ・ヘッドマスターズの7月よりも遅い11月と4ヶ月もあとの話です。 

日米の嗜好が大きくかけ離れたTF玩具として有名なのはプリテンダーですね。北米では成功して、翌年にはウルトラプリテンダー、メガプリテンダーなどラインナップが拡充されましたが、日本では日本的ヒーロー色を押し出したメタルホークといった独自のプリテンダー玩具を出したもののヒットせず、ゴッドマスターを前倒しして登場させました。

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画像は日本オリジナルプリテンダーのメタルホーク(左)と日本未発売プリテンダーのストラングルホールド

翌年のトランスフォーマーVにも一応プリテンダー玩具は発売されましたが、クロスフォーマー、恐竜戦隊と大幅に改修され、プリテンダーの名称も使われていません。加えて、ほとんどの玩具が日本独自のものになるという程、北米との違いが明確になっています。

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画像は恐竜戦隊

 

北米ではゴッドマスターにあたるのがパワーマスターですが、翌年にはオプティマスプライム以外は玩具カタログに掲載されなくなりました。当時は大概2年はカタログに掲載されるのですが、1989年のカタログは内容がオプティマスを除いて、新規カテゴリのマイクロマスターとプリテンダーの2種に絞られています。

1988年までは豊富なカテゴリーで賑わっていただけに随分と整理されたものです。翌年の1990年に北米での玩具展開は終了し、1984年から1990年までの7年間が北米でのG1時代とされます。日本では1985年から1992年の8年間続きましたので、本場の北米より日本の方が長かったんですね。まあ、日本では1990年から勇者シリーズがスタートして、トランスフォーマーの存在感は皆無でしたが…。よく3年も続いたと思います。

僅か数年でこうなってしまう辺り、初代トランスフォーマーは日本でも大成功したものの、やはり商習慣の違いなどの難しさを感じさせます。

米国での展開も終わるかというタイミングで『ビーストウォーズ』が始まりましたね。

この一文は餘家氏ではなくインタビュアーのものですが、意図的なのかG1とビーストウォーズの間にあったジェネレーション2(G2)を省いています。米国ではG2でまた終了ってイメージが強かったのかも知れません。

1992年末にG2として再開した訳ですが不振だったようで、3年で終了しています。2年目以降の玩具は国内でも一部販売されていますが、僅か半年で終了しています。当時、放映されていた「黄金勇者ゴルドラン」の枠内でCMをやってまいた。


Transformers Generation 2 Toy Commercial Japan

劇場版には遠く及ばないにせよ実写+CGのアニメーションは当時としては相当なクオリティで驚きました。

米国はともかく、国内G2の不振をみて当時はトランスフォーマーを国内で再開する事はもうないだろうなと思ったモンです。

ビーストウォーズはフルCGアニメと連動で展開する一大プロジェクトだった。

アニメがスタートしたのは玩具の販売開始よりも数ヶ月後の事でしたが、タイムラグを考えても、玩具が売れたからアニメ化ではなく、当初からCGアニメありきの企画だった事がわかります。

日本では玩具販売とアニメ放送のスケジュールはかなり綿密に組まれていますが、再放送の多い北米ではそうでもないのでしょう。

逆に、トランスフォーマー アニメイテッドではアニメが先行して放送され、玩具販売はその数ヶ月後になりました。当時は実写劇場版の玩具がかなり好調だった時期で、それが影響しているのかも知れまん。

ビーストウォーズはタカラとハスブロと足並みを揃えて企画した。

当時、大人気だったスポーンの影響を受けたと思われるクリーチャー的な有機的デザインのビーストウォーズですが、先述のザ・ムービーのようなハスブロからの一方的なケースではないようです。独特なプロポーションが特徴だったトランスフォーマー アニメイテッドの玩具も同様のようです。

 

当初、ビーストウォーズはケナーから発売された。

日本でケナーというとスター・ウォーズの玩具を最初期の頃から販売しているメーカーとして有名です。

ケナーからの販売になったのは、ケナーを買収したトンカで、それを買収したのがハスブロでした。トンカはかつてGOBOTSというタイトルで日本のマシンロボを北米で販売していた会社で、先述のG2の時にGOBOTSのカテゴリーがあったのもこの買収が関係しています。

CGアニメを制作したメインフレーム社にも出向して、変形プロセスの打ち合わせをした。

こんな所にまでタカラの方も参加していたのは意外な感じでした。玩具とアニメが別個に制作されたビーストウォーズ・リターンズBeast Machines)以外のビーストウォーズの変身シーンは概ね玩具に忠実だったのもこういった打ち合わせの結実なんでしょう。

トランスフォーマー カーロボットは金型や映像に大きな投資をしたが日本では人気が伸び悩んだ。

インタビューではG2同様、ビーストウォーズ・メタルスも省かれています。カーロボットが国内で不振だったのは、BWメタルスが大爆死した直後のシリーズでしたし、そう考えればよく売れた方じゃないかと感じます。

BWメタルスの玩具展開はそりゃもう酷いものでした。前作のビーストウォーズ・ネオの頃にはもうビーストウォーズ人気もすっかり下火になっていて色々と売れ残っていました。BWメタルスは大ブームを興したCGアニメがあるという事で初期の玩具は強気の出荷をしたのか、それ以上に売れ残っていました。お陰で、後期の玩具はほとんど出荷されない有様でした。

そう考えると金型流用とはいえ、超大型TFであるグランドマキシマス、トイザらス限定仕様のゴッドファイヤーコンボイ(ファイヤーコンボイとゴッドマグナスのクリアーバージョン+スーパーゴッドソードのセット)の販売ができたのは大したものじゃないでしょうか。

まあ、タカラからすると前作のBWメタルスはメタルスジャガーを除けば、全て北米で発売したものを仕様を変えて国内向けにしただけですし、アニメも吹替でしたからね。爆死したといえ安上がりなモンです。大型玩具があった事を考えると、前々作のBWネオ以上の投資をしていたのは間違いないでしょう。

なんにせよ、ビーストウォーズから再開された国内でのトランスフォーマーシリーズはここで終了します。カーロボットの翌年には当時、同社のe-karaが大ヒットしていた事もあって、ゲームが内蔵されているロボット玩具、ウェブダイバーが展開される事になります。

 カーロボットをハスブロに見せたら、その原点回帰のコンセプトに賛同。北米に『ロボット・イン・ディスガイズ(R.I.D)』として輸出したら大ヒットした。

当時の北米TFといえば、ビーストウォーズ・リターンズが大コケしてしまい、続編として予定されていたトランステックが宙ぶらりんになってしまっていた頃ですね。

北米でのビーストウォーズシリーズは日本と違って非常に優れたSFアニメであった訳ですが、年齢層を徐々に上げていった結果、袋小路になったしまった感はありますね。この辺り、80年代のリアルロボットが辿ったのとダブって感じます。

 カーロボットの北米での大ヒットは良くも悪くもトランスフォーマーシリーズのターニングポイントになったんは間違いなさそうです。

G1からビーストウォーズまで約15年間(休止期間含む)同一の世界観できたトランスフォーマーでしたが、これ以降、事ある毎にリセットするようになります。

とはいえ、実写劇場版やTVシリーズのプライム~アドベンチャーはまだリセットせず続いているのは大したモンです。

実写劇場版が作られる前にタカラの方で独自に数十秒程度のイメージ映像を作ったことがある

具体的には語られてませんが、実写に近いリアルよりのモノだっと推測できます。映像先述したG2のCMみたいなモンなんでしょうか。出来不出来に関わらず観てみたいものです。

あと、インタビュアーはマイクロン伝説の名前は出しましたが。見事にスルーされています。

最初の実写劇場版の玩具開発は機密ゆえに資料が全然届かなかった。

ギリギリのスケジュールの中であれだけのモノを出せたのは大したものです。

二作目のリベンジでは一作目の映像を元に制作されたものも多く、同じキャラでも非常に再現度があがっていたのが印象的でした。

実写劇場版のデザインをネットで初めてみた時はビーストウォーズの時と同等ぐらいのショックを受けた記憶があります。今ではもう見慣れた姿ですが、こういったリアルへの振り方ってのがあるのだなと感じさせてくれるデザインです。

またトミーとの合併と被ってしまい非常に忙しく思い出せない。

トミーとの合併のお陰で、スター・ウォーズとのコラボTFやスカイリンクス、オメガスプリームなどが販売できたのはTFファンにとっては幸運でした。

まあ、後者の2点は数年前にトンでもないプレ値で北米版を購入した身としてはあまりにショックでしたが(^^;

2017年春にタカラトミーを退職

長年のお勤めお疲れ様でした。

 

終わりに

 なかなか充実した読み応えのある特集でした。

他のページもぼちぼち目を通したいです。

 

 

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