トランスフォーマー アドベンチャーのグリムロックは何故、緑色のボディなのかの雑感
はじめに
劇場版『トランスフォーマー ロストエイジ』(ロストエイジ)や『トランスフォーマー アドベンチャー』(アドベンチャー)のグリムロックは『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』(初代TF)の所謂ジェネレーション1(G1)デザインと比較して大幅に変更されました。別キャラといっていいレベルです。
そしてアドベンチャー版(画像中央)のカラーリングは見ての通り緑と黒になっています。従来のイメージから大きく逸脱しました。理由が全く思い浮かばない黒の方はさておき、そんなアドベンチャー版グリムロックの緑色カラーリングについての雑感です。
過去に緑色のボディカラーは無かったのか?
結論から言うとあります。
まず、それらについて先に触れていきます。
ジェンレーション2
『トランスフォーマージェンレーション2』(G2)の際にはG1版が再販されましたが、再生産される毎にボディカラーが変更され、シルバー、青緑、青の3バージョンが存在します。その中の青緑が緑色のボディカラーと見る事ができるでしょう。かなりギリギリなラインでスラッグやスナールほどにはハッキリとした緑ではありませんが…。
※この画像はG1グリムロックの玩具をPCで加工したものです。
transformers generation2 grimlock - Google 検索
G2版グリムロックの玩具が気になる方は検索してください。
北米版カーロボット
日本独自で展開された『トランスフォーマーカーロボット』の北米版『ROBOTS IN DISGUISE』(RID)で、緑色のボディをしたビルドハリケーンがグリムロックと名称変更されました。
※画像はビルドハリケーンです。
どういった経緯でこういった改名となったのは判りませんが、商標を保持する為に定期的に名称を使用するという事がしばしばトランスフォーマーでもあると聞きます。最近、北米で発売されましたタイタンリターンズ版のホットロディマスの名称が『AUTOBOT HOTROD』となっているのもその関係でしょう。
日本ではあまり聞く話ではありませんが『トランスフォーマー プライム(プライム)』に登場した“メディック”ノックアウトや“ウォー”ブレークダウンといった北米版よりも長くなった名称にはそういうのが関係しているものと思われます。
また、実写劇場版が公開以降、TFの顔ともなったバンブルビーですが、北米では1995年のG2ゴーボッツ版から2006年のクラシックス版までのおおよそ10年間の間発売されていないというケースもあります。ただ、ドリームウェーブ社のコミックスには登場しています。
この期間、国内では復刻版、極小変形でバンブルが発売されており、『超生命体トランスフォーマーマイクロン伝説』(マイクロン伝説)でも同名のキャラクターが登場します(北米ではパーセプターという名称)。
余談ながらアドベンチャーの劇中で グリムロックはクレーン車に偽装するシーンがあります。ショベルカーだったRID版のオマージュなのかも知れませんね。
※トランスフォーマーアドベンチャーマイクロンの章9話より引用
トランスフォーマーアドベンチャーは現在、タカラトミーのYouTube公式チャンネルにて全話無料公開されています。
トランスフォーマーアドベンチャー マイクロンの章 第9話
ロストエイジ
2014年に劇場公開されましたロストエイジ版でのグリムロックもまたメタリックグリーンというカラーリングです。
ロストエイジ版は映画では一見するとメタリックシルバーのような印象を受けますが、よくよく観るとメタリックグリーンです。劇中では動きが激しく尚且つ汚しもあるのでなかなか認識し辛くメタリックという印象だけが強いですが意識的にトレーラーを観るとメタリックグリーンである事が確認できます。
2分過ぎ辺りからグリムロックの映像があります。
また、リーダークラス以外の玩具版では映画、G1双方のカラーリングとも、大きく異なるオレンジをベースにしたものになっています。トランスフォーマーではG1の頃からアストロトレインなど映像メディアと玩具の色の違いというのが度々ありますので珍しい話ではありません。
今年の3月発売予定のボイジャークラスの再販となる劇場公開10周年記念バージョンはオレンジから劇中カラーに近いものになっている…のかな?
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最初からこの色で何故出せなかったのか…。
余談ながらスターウォーズ旧三部作でのC-3POの右下腿部はゴールドでなくシルバーでファンにとっては周知の事実ですが、映画を観る程度の大半の視聴者にとって、メタリックなカラーは場面によっては認識し辛く、気付きにくいのは間違いありません。
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フィギュアでは何時頃からこういう塗り分けがされるようになったのでしょうね。
緑色になった理由を考えてみる
G1時代と異なりトランスフォーマーも高年齢のファン向け本も多く出るようになりましが、その多くは玩具のカタログ本+α程度に留まっており映像メディアに対して踏み込んだ書籍はあまりでていません、トランスフォーマー アドベンチャーに至ってはこの2年間ファン向けどころか子供向けの書籍すら1冊も出ていないのが現状です。
アドベンチャー版グリムロックのカラーリングについて知る手立ても特になく、映像制作そのものは『シドニアの騎士』や『山賊のむすめローニャ』で知られる日本のスタジオ『ポリゴン・ピクチュアズ』が担当しているものの、あくまで映像部分のみであって文芸設定は北米のスタッフが制作しているだけに、日本では知るすべも乏しいといった所です。
そんな訳で自分なりの言ってしまえば適当な憶測を書いてみたいと思います。
アニメイテッド以降、パワーファイター系は緑色が定番となった
『トランスフォーマーアニメイテッド』ではアイアンハイド*1、プライムではバルクヘッド、ロストエイジではハウンドといったキャラクターが緑色のボディカラーとなっています。ハウンドがパワーファイターかどうかの確証は持てませんが、重武装が売りでポジション的には前作ダークサイド・ムーンまで活躍したアイアンハイドの後継キャラであるとみていいでしょう。名前こそハウンドですが、ビジュアル的なイメージはプライムのバルクヘッドに近い印象があります。
また、ロストエイジでは前述しましたメタリックグリーンのグリムロックが当然居ますが、他にもクロスヘアーズが緑色のボディとなっています。
なんにしても、この流れに沿って、グリムロックがこのポジションに付いた事でカラーリングもそれに合わせた格好になったと解釈するのもアリなのではと思う所です。
何故パワーファイターが緑色なのか?
思えば、初代TFに登場し強大なパワーを見せつけた合体戦士のデバスターもボディカラーは黄緑でした。これ以降も合体戦士は登場しますが緑色をベースにしたものは登場していません。ただ、TF初の合体戦士が黄緑であった事はなにかしら象徴的なものを感じさせます。
マイクロン伝説でも同名のキャラクターが登場し、見るからにパワー系と言って差し支えない容姿で劇中での扱いは歴戦の傭兵といった趣でした。
パワーファイター系に対して緑色のイメージがあるとする理由をシンプルに考えてしまえば、マーベルヒーローの代表格の1人でもあるインクレディブル・ハルクが緑肌である事が大きいのではと思います。
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余談ながら、かつてトランスフォーマーはマーベルヒーローとのコラボ玩具をリリースした事があり、その中にハルクもあります。
恐竜には緑色のイメージがある
G1時代の『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマーV』では恐竜戦隊が発売され、その容姿はサイボーグ化したかのような恐竜の姿であり、カラーリングは緑でした。
初代ゴジラが海外で公開された際にも、ポスターに描かれたゴジラの色は緑色でしたし、実際にどうだったかは別として恐竜はワニやトカゲなどの爬虫類のイメージが強く、ボディカラーにもそれを強く引きずったものになりがちです。
アドベンチャー版のグリムロックもこれに倣ったものかも知れません。
戦隊モノとしての緑色
『秘密戦隊ゴレンジャー』や『ジャッカー電撃隊』などスーパー戦隊シリーズでも緑色の隊員が登場します。3作目の『バトルフィーバーJ』では緑キャラは登場しませんでしたがそれでも定番カラーの一つある事には変わらないでしょう。
ゴレンジャー、ジャッカーもある程度観たことはありますが、大昔の話で全然覚えていません。ウィキペディアでチェックした限りではミドレンジャーはマスコットキャラクター的存在で、クローバーキングはパワー系だったようです。
トランスフォーマーでは特定の定番カラーはないものの、雑多な初代TFは別としても、『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー2010』以降のメインキャラクターは数も整理され、配色でもある程度の差別化が意識されているとみて間違いないでしょう。
『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』でのチータス、マイクロン伝説のホットロッド、2007年の実写劇場版以降のバンブルビーら若手のホープとして描かれるオートボットが共通して黄色のボディカラーなのは興味深い所です。
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トランスフォーマー アドベンチャーでも、そういった配色によるキャラ立て差別化が行われています。とはいえ、赤のボディとなるとオプティマスプライム、サイドスワイプ、ウインドブレード、スリップストリームとまあアニメに登場するオートボットだけでも相当色被りは否めません。
しかも赤だけでなく、黒も被っています。流石にこの配色はマンネリにも程があるのでは…。
それでも、初期メンバーはバンブルビー(黄)、ストロングアーム(青)、サイドスワイプ(赤)、フィクシット(橙)、そしてグリムロック(緑)ですので収まる所に収まっています。
おわりに
公式からの言及がない以上、特に結論はないままです。
さて、トランスフォーマーアドベンチャーの世界観は公式でプライムとPlayStation3/Xbox360で北米などで発売されたゲームのフォール・オブ・サイバートロン(FOC)と共通である事が明言されています。
時系列ではFOC→プライム→アドベンチャーとなり、グリムロックがFOC版と同一のキャラクターなのかは不明ですが、特に否定する理由がない以上、ストレートに考えれば同一のハズです。
FOC版とアドベンチャー版の差異は今回のテーマであるボディカラーと、アドベンチャーのアニメでは当初ディセプティコンとして登場した所にあります。
そのミッシングリンクを自分なりに解釈したクソコラ漫画を置いてこの雑記を締めたいと思います。
こうしてミッシングリンクを補完する事ができました!
*1:海外ではバルクヘッドでしたが、日本では劇場版にも登場していたアイアンハイドの名称を使用しています。またアニメイテッドには本来のアイアンハイドも登場しており、こちらはアーマーハイドという名称になっています。