マスターピース・レーザーウェーブのアニメカラー版の雑感

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去る、5月に開かれた第57回静岡ホビーショーにて公開されたマスターピースレーザーウェーブショックウェーブ)のアニメカラー版にファンは慟哭した。何故なら、今持っている玩具が不完全版であるとメーカーから告げられたとの同意だったからだ。

 

 

玩具のバリエーション商法は定石

タカラトミーにおける玩具のカラーバリエーションは珍しくはない、40年以上前のミクロマンの頃から普通にある(尤もミクロマン単体は低額商品だが)。トランスフォーマーの玩具シリーズでもカラーやパーツの変更によるバリエーションは過去に数多く発売された。マスターピースに限定してもスタースクリームを始めとするジェットロンは10種以上でている。

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それでも多くの場合はMPウルトラマグナスやMPサンストリーカーみたく、ダイアクロンにあった配色に即したものであればバリエーションの範疇であり、過去のバージョンを否定したものではなかった。

 マスターピースの中でもスタースクリームは紆余曲折を経た玩具でもあり、リアリティを重視した初期版、アニメカラーに近いUSA版、金型を大幅に改修し、アニメカラーに忠実な完全版と3種存在しているが、その時々の方向性に振り回された結果とも言える。

MPレーザーウェーブ・アニメカラー版が批判される訳

レーザーウェーブは先述したスタースクリームと異なり、意図的にアニメカラー版を後回しにしたとみられても仕方がない。ややこしいが厳密に言えば、アニメカラーに近いのは薄紫色の旧版の方であって、アニメカラー版は1985~1986年当時に発売された紫色の玩具カラーとみていい。ファンの需要から言えば紫色の方が高くなるだろうが、発売されたのは薄紫色のバージョンだったのである。レジェンズガルバトロンショックウェーブ*1も海外版では紫色だったものが国内では薄紫色になっており、前々から国内仕様の色味の薄さは指摘されていた*2。それ故に、MPレーザーウェーブが発売された際もそういうものとして受け入れざるを得なかったのだが、それが今回完全に覆される格好となったのだ。

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 今回のレーザーウェーブと同じパターンとしては、過去にMPコンボイビーストウォーズ)があった。こちらはCG版、セル版と発売されたが、多くのファンが望むのは前者であり、こちらが先行して発売されている。これが逆だった場合、レーザーウェーブと同様の批判があっただろう。

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ほとんど仕様が変わらなくともより満足度の高い商品が出れば手を出してしまうのはファンの性といえる。玩具に限った話でもなく、そういった販売戦略は珍しくはない(それはそれで批判の対象になる)。

 

テクノロジーの恩恵が少ない玩具のコスト

2018年に復刻されたアンコール版ゴッドファイヤーコンボイは20年程前の玩具になる為に、今の視点でみれば物足りない面も多いだろうが、結構な反響がありキャラクタービジネスの底強さを感じさせた。

昨年には実写劇場版の第一作目の時には販売されたオプティマスプライムのリーダークラスの玩具がアマゾン限定で復刻されている。これは値段が高すぎたのか、2018年6月の時点では半値ぐらいまで下がっている(それでも当時の価格より高いが)。

【Amazon.co.jp限定】 トランスフォーマー TLK-EX オプティマスプライム 2007

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 こういった懐古的な面でいうと大ヒットした『ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ』『ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン』などが思い浮かぶかも知れないが、あれは当時の実売価格の数分の一にまで値段がさがり、カセットの差し替えも必要としないという正にテクノロジーの恩恵を受けたものであり、当時の価格から3倍程に膨れ上がったアンコール版ゴッドファイヤーコンボイとは対照的である。玩具というのはゲームと異なり、テクノロジーの進歩によるコストダウンの恩恵をあまり受けない側面がある。

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映像メディアにおいても、ビデオテープ、DVDからネット配信という環境の変化から、確実に映像メディアの価値は年々下がっている。

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玩具というものは、金型を流用できたとしても製造コストがある限り、(市場原理によるワゴンセールなどは別として)昔の玩具だろうと価格が下がることが難しく、復刻となれば金型の修復から、製造数が当時よりも限られて来るために量産効果があまりなく高価になりがちなカテゴリーともいえる。

 

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しかも、先のアンコール版ゴッドファイヤーコンボイは全品回収となってしまい、詳細は不明だが確実に赤字と言っていいだろう。

tf.takaratomy.co.jp

つまりは、一見安易にみえる復刻版や完全版商法とて玩具メーカーにとって他業種に比べメリットは限定的なのである。

 

完全版商法の是非

G1時代の頃からカラーバリエーションの水増しは多かったものの、同じキャラターの玩具を発売することは稀であったが『ビーストマシーンズ』以降はサイズバリエーションが常態化し、後々になって決定版と言える玩具をリリースするのは、長期シリーズとなったトランスフォーマー玩具においては常道である。

イチから再設計している玩具なので、性質の異なる話になるが『トランスフォーマー ロストエイジ』で発売されたグリムロックは、4年後に決定版ともいえる『スタジオシリーズ』が登場し、公開当初からその出来栄えの良さから話題になりネット予約は即日完売し、国内では入手困難な状態となった。

玩具に限らず製品というものは、コストなどの特別な理由がない限り、研究開発が進んだ後から出た製品の方がクオリティが高くなる。先行して購入いた消費者はどうしても避けられないデメリットがあるのは否めないが、「それはそれ」として受け入れていかなければならない。逆に決定版といっていい商品は後年でた事で、歓迎される事も多く、価格に見合えばより良い製品が出る事を否定する人はそうそういない。

敢えて難を言うなら、SS版グリムロックを2017年の内にリリースできなかった事ぐらいだ。

また、個人的にはロストエイジオプティマスプライムグリムロックのリーダークラスの玩具は、没デザインではあってもこれはこれで商品化された事には意義があったと思っている。

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むしろ、このタイミングで発売しなければこの没デザインのオプティマスやグリムロックが商品化される機会はなかっただろう。

 

あくまで、ちょっとした変更程度だったり、短いスパンで完全版をリリースするという、金型の減価償却と利益の為に完全版を前提とした(としか取れない)販売戦略が、メリットは限定的にも関わらず目先の利益ばかりを追求しているように感じられ、半端品を掴まされた気分となりファンの不信を生むのである。

 

ファンに依存する商売は先細りするばかりで長くは続かないだろうが、だからといってファンを粗末に扱って限界まで搾り取るようなチャレンジングな売り方をして言い訳でもない。あくまで問われているのは企業としての姿勢なのである。

 

 

 

 

余談:コラ画像に使用したトランスフォーマー解説

トランスフォーマーレジェンズ』ゴッドジンライ

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昨年のおもちゃショーにて完全版ゴッドジンライが公開された。これは通常版ゴッドボンバーの発売一週間後の話である。

hobby.dengeki.com

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トランスフォーマーロストエイジオプティマスプライム

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トランスフォーマー ロストエイジ』のオプティマスプライムの劇中の姿を再現した玩具。先行して発売されたバージョンは映画での姿と異なっている。ゲームではこの姿となっている。

トランスフォーマー 最後の騎士王』ではより改良された、キャリバーオプティマスプライムが発売された。

海外では未発売で、最後の騎士王でも旧版が再発売されている。

Transformers: The Last Knight Premier Edition Leader Class Optimus Prime
 

 

トランスフォーマーアドベンチャー』 ハイパーサージ オプティマスプライム

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トランスフォーマーアドベンチャー マイクロンの章』で発売されたハイパーサージ オプティマスプライムの5ヶ月後に完全版のゴッドオプティマスプライムが発売された。昨年の第一期でも同じ売り方をしている。

ちなみに劇中では最終回の一度しかこの姿になっていない

 

トランスフォーマー 最後の騎士王』 メガトロン

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『ムービー・ザ・ベスト』シリーズで劇中カラーバージョンが発売。配色以外の変更は一切ない。そういう面では今回のレーザーウェーブと同じではあるが、映画公開の期間内に発売する必要がある事や、基本的に海外版と同じ仕様であった事も考慮すべき点としてある。

MTBシリーズについてはこちらのエントリで記述している。

hi-r.hatenablog.com

 旧版のメガトロンは2018年6月現在、70%オフの2200円で売られている。

トランスフォーマー TLK-19 メガトロン

トランスフォーマー TLK-19 メガトロン

 

 

*1:レジェンズでは日本版名称が使用されているが、ショックウェーブは海外名称での発売だった

*2:但し、2000年以降でも『トランスフォーマー スーパーリンク』『トランスフォーマー バイナルテック』『トランスフォーマーGO!』や実写劇場版では紫色のレーザーウェーブが国内でも発売されている