映画 トランスフォーマー 最後の騎士王 ネタバレなし感想と解釈

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公開から一週間が経ってしまいましたが、2017年8月4日に全国公開されました映画 トランスフォーマー 最後の騎士王のネタバレなしの感想です。

  

 

ざっくりとした感想


『トランスフォーマー/最後の騎士王』第1弾予告編

率直に申しまして期待していたよりかはずっと面白かったです。

前作がそこまでガッカリ作品だったかというとそうでもないのですが、基本的に実写劇場版のシリーズは自分がトランスフォーマーに期待しているのとは違う所に力を入れているので、映像がどんなに素晴らしくても、なかなか素直に絶賛し辛い所があるのです。

キャラクター

活躍は今ひとつだったものの三、四作目ではモブもいい所だったディセプティコンにも明確な個性が描かれましたし、オートボット達の個性やウィットのある会話といった部分も良かったです。

実写劇場版では暴君としてのイメージが強いメガトロンも、以前よりかは理性的な面が描かれたりしましたし、グリムロックがユーモラスなキャラにシフトし、可愛いミニダイノボットや新キャラクターのコグマン、スクィークスのキャラも立っていたのも印象的でした。

ストーリー

予告などで既に判明していましたが、トランスフォーマーが中世や近代の戦争に介入していた事もある意味、衝撃的ではありますが、一応の辻褄は合っているのかなって思います(詳細は後述)。まあ、一作目とは多少矛盾するのですが、二作目の時点でピラミッド建造に関わっていましたからね…。ただ、多少の矛盾は目をつむるにしても、あるワンシーンの矛盾だけは頂けませんでした。ネタバレになるので具体的には触れませんが、一作目で描かれたキャラクターの重要シーンに関わる部分でもあるので、これは残念でしたね。

あるシーンでは二作目とほとんどかわらないシークエンスで展開されます。王道とかそういうレベルではありません、スタッフはここまで瓜二つなシーンをやらかしても気づかないものなんでしょうか。終盤の展開では、三作目のアレって意味なかったなぁと思いました。○○ちゃん涙目やね。

同じネタを意図的にやっているならともかく、そういった意図はどうみても感じられません。ガバガバ脚本というだけです。

物語のスケールはシリーズ最大といった具合ですが、この豪快さ、大胆さは1980年代に放映されたG1時代のTVシリーズっぽいとも言えます。今のTVシリーズは随分とこぢんまりとしたスケールという印象ですが、G1時代は当時の大らかな作風も手伝ってスケールの大小が柔軟でした。

次回作以降、人間の出る幕があるのかと思ってしまう所ですが、まあ問題なく活躍するんでしょうね。四作目に登場したKSIの研究が進んでいれば…とも思ってしまいますが、この手の連続性はあまり期待できません。

おわりに

今まで比較的、TVシリーズの内容を踏襲していましたが、今回のラストはTVシリーズにはない大胆な展開なだけに、次回作には素直に期待したい所です。

 

 

取り留めもない感想と解釈

あとは、個人的な感想と解釈を取り留めもなく書いていきます。内容は多少なりと被っています。

シリーズとしての差別化

現状、全5作、シリーズ通してマイケル・ベイ監督が手掛けているだけに、スローモーションの多用、米軍の活躍、シリーズとしての整合性をまるで気にしない脚本といった、カメラワークから物語の展開、演出等々作風は非常に良くも悪くも似通っています。お陰で、内容が変わらない…同じ映画を観ているみたい…といった皮肉じみた感想をちらほらみられます。

それでもシリーズ毎に物語の方向性みたいのは差別化しているのかなって感じます。一作目なら悪役のディセプティコンが中心に活躍する異星人の侵略映画的な見せ方になっていますし、トランスフォーマーの存在が全世界に明らかになって善玉のオートボットもまた追われる身となる四作目になると、逃走劇な作風にも見えなくもないです。

この五作目はさしずめ『ケイドの大冒険』とサブタイトルをしてもいいほど、ケイドを中心にノンストップで物語が展開します。ただ、要所要所で率先して活躍した前作に比べるとなにもしていない印象なんですが、それでもケイドをジェットコースターに無理矢理乗せて物語を展開させている印象が強いです。ストーリーにキャラが引きづられているというヤツです。

まあ、実写劇場版は人間キャラが主役というのは慣例ではありますけど。ですので、冒険物として観ることができるのではないでしょうか。そういう意味では二作目に近い印象ですね。それでも二、四作目にはディセプティコンと米軍の扱いが大きく異なる差別化は見られます。

一作毎に差別化しつつも、共通しているテーマもあり、それはトランスフォーマーシリーズ通してのテーマともいえる"Robots in Disguise"(偽装するロボット達)であり、近年だと北米のTVシリーズに付けられているサブタイトルでもあります。

米政府と協力関係にあった一~三作目と、追われる身となる四、五作目ではオートボットの立ち位置が大幅に変化しますが、そういった状況を活かしている点は非常に評価できる所かと思います。

冒頭のシーン


映画『トランスフォーマー/最後の騎士王』第3弾予告編

サブタイトルである最後の騎士王という事で冒頭では見応えのある中世での戦争が描かれます。自分としては漠然に、ゲームの伝説のオウガバトルキングオブキングスみたいなファンタジー系のSLGが実写化したりしたらこんなんかなぁとか思いながら見てました。

衣装なんかはウィザードリっぽいですね。まあ、ウィザードリィのイラストを担当した末弥純氏がこの時代の衣装を参考にしたとみるのが正解でしょうけど。

作風

予告ではオプティマスプライムがダークサイドに堕ちるという煽りがあり、スター・ウォーズ エピソード3にあったアナキンの顛末を思わせる悲劇性を予感させますが、意外にも作風はシリーズ中最も軽い印象はあります。三、四作目の作風がシリアスに重きを置いていた所がありましたので、そのギャップからよりそう感じる所もあるのでしょうが、トランスフォーマー達のウィットのある会話や戦死者が少なめだったのが大きな理由です。

なんといってもスター・ウォーズC-3POを彷彿させる新キャラのコグマンがコメディリリーフとして、この映画の作風を明るくしているのに大きく貢献しているのは間違いありません。ホント、いいキャラしてると思います。

人類の歴史にトランスフォーマーあり

  •  一作目 一万年前にオールスパークが地球に落下。数千年前にメガトロン地球に不時着。1936年オールスパークとメガトロンをフーバーダムに隔離。メガトロンからリバースエンジニアリングした事で20世紀における米国の繁栄があった
  • 二作目 紀元前17000年頃、ザ・フォールンが地球に太陽からエネルギーを奪うスターハーベスターを設置。プライムの祖先がスターハーベスターの起動キーであるマトリクスを自らの命をもって封印。ザ・フォールンはマトリクスを探す為にシーカーを派遣。
  • 三作目 1960年頃、月にセンチネルプライムの乗るアークが墜落、アポロ計画に影響を与える。
  • 四作目 創造主によるトランスフォーマー誕生の裏にシードを利用しての恐竜絶滅があった
  • 五作目 アーサー王、第2次世界大戦、戦国時代などの戦争にトランスフォーマーが介入していた(予告編等で判明している部分)

…といった具合に人類の歴史にトランスフォーマーありです。地球狙われ(?)過ぎですよ…特撮の世界における日本ですか?

正直な所、やれやれといった具合です。シリーズが継続されるに従って肉付けされていくのは判るのですが、あまりにも過去にあった事に関わらせすぎで、流石にウンザリします。

五作目では更にトンデモナイ事実が明らかになりますが、勘弁してほしいです…まあ、これ自体はTVシリーズにもあったネタですが。

個人的に必ずしもこういう肉付けを好まない訳ではありません。ビーストウォーズでは人類の進化にトランスフォーマーが関わっていた事になりましたが、あくまでビーストウォーズは過去にタイムスリップした訳であって歴史を作った当事者だった訳です、それに比べると、『実は~だったんだよっ!』みたいな後出しジャンケンみたいな実写劇場版の手法は感心しませんね。

基本的(?)に、新作が発表される度にでてくる新設定が既存作の設定との整合性を考慮しない事もある為に、覆されるのも残念です。トランスフォーマーに設定の整合性を必要以上に求めるつもりはありませんが、先述の通り、実は~で覆される展開は子供騙しもいい所です。

三作目で、アポロ計画の裏側を描く一作目の前日談ノベライズであるゴースト・オブ・イエスタデイとは決定的に矛盾している事になりました。この作品ではトランスフォーマーのキャラクターが個性的に描かれている秀作なだけに残念な所ですが、まあこういったスピンオフの小説やコミックまで整合性を求めるのも酷とは思います。

トランスフォーマー―ゴースト・オブ・イエスタデイ (ハヤカワ文庫SF)

トランスフォーマー―ゴースト・オブ・イエスタデイ (ハヤカワ文庫SF)

 

また、玩具では四作目に登場するロックダウンが全く別の姿で二作目に登場しました。

トランスフォーマームービー RD-26 N.E.S.T.ディセプティコンロックダウン

トランスフォーマームービー RD-26 N.E.S.T.ディセプティコンロックダウン

 

ゲームでは一作目に三作目に登場するショックウェーブが登場します。


Transformers The Game Walkthrough - Heavy Weapon/Shockwave Boss Battle - Mission 8 - Autobot

スター・ウォーズでもエピソード7制作時、スピンオフ作品に対し、カノン(正史)とレジェンズ(拡張世界)に整理しているぐらいです。

個人的には一作目以外の過去設定は全て蛇足だと思っています。これらの設定が物語に厚みを持たせるよりも、作品としての完成度を落とし、粗雑に扱っていることがよく伝わっているのは否めません。先述したように、五作目では結局、一、三作目のストーリーを蔑ろにしていますからね。

スター・ウォーズバック・トゥ・ザ・フューチャーなど、こういったシリーズ作品は連続性ならではの魅力があり、見返す時に(矛盾を見つける事もあるにせよ)新しい発見なり、シリーズならではのネタが活かされる事があると思うわけですが、トランスフォーマーにはこういった部分が皆無な訳です。

元々シリーズ化は未定だったとはいえ、結果的にリセットする事なく10年、5作品も続いているのに勿体無い話です。

今まで出ている設定も好意的に解釈する事も可能でしょうが、多くの人にとってはそれまで認識してきた設定が悪い意味で覆されている事は間違いないでしょう。バンブルビーオプティマス達よりも先に地球に来ていたので、ナチスと戦っていても不思議ではありませんし、元ディセプティコンのドリフトが戦国時代にいるのも、映像メディアだけなら必ずしも矛盾した設定とは言い切れない所です。が、好意的に解釈するのも疲れました…。

 

なにより自分の中でも、劇場版の設定やタイムラインなどはしっかり把握できていません。

日本では、きちんとした設定資料集もでませんし、スピンオフのコミカライズ等も和訳されませんので、このシリーズの設定を把握するのはかなり面倒です。公式サイトでは全くフォローされませんし、マニア向けの本であるトランスフォーマー ジェネレーションでも映像メディアはほとんどフォローされませんし、ウィキペディアが一番マシという現状は如何ともし難いです…。

 

キャラ描写

ダイノボットグリムロック

前回は喋ることがなく明確な人格みたいのは描かれていませんでしたが、今回も台詞自体はないものの、ユーモラスなキャラへと変化しています。また、ロボットモードにもなりませんでした。

グリムロックのこういった変遷は過去にもあり、G1のアニメではザ・ムービー以降にこういった変化がありました。

今作の場合だと、トランスフォーマーアドベンチャー版のグリムロックの影響もあるかも知れませんね。

ディセプティコン

活躍の場は少なかったものの前作、前々作に比べると個性が描かれていたのは良かったです。

しかし、考えてみると、一作目の頃からディセプティコンの描写には不満が多かったんですね。どんどんディセプティコンのキャラ描写が悪くなってしまい、相対的に一作目は良かったと錯覚してしまっていますが…せめて一作目の水準にまでは回復してほしいものです。

人間

映画タイトルに反し最も尺が割かれている訳ですが、キャラ描写が薄っぺらいのか映画評論家から批判の対象になりがちな所ですが、下ネタの元凶である人間の出番を減らして欲しい身としては正直どうでもいいです。また、自称発明家という設定ながら筋肉隆々なケイド、教授なのにセクシーな格好をするヴィヴィアンといった描写はある種のステロタイプといえるんでしょうか。

物語に介入させる為に、サムやケイドに重要なファクターを与えすぎている感はどうしてもありますね。トランスフォーマーの戦いにここまで人間に運命を架していいものかどうかという印象です。

おんぼろトラックを買った事から、トランスフォーマーの戦いに巻き込まれるという数奇な運命のケイドですが、これ以上、変に設定は与えないでほしいですね。彼の運命まで必然的なものになったら白けますから。

今作のヒロインの1人であるイザベラですが。次回作以降の登場はどうなんでしょうね。可能性は半々とみています。レノックスやシモンズといったセミレギュラーで登場するキャラもいる反面、一作目でディセプティコンのハッキングを解析したマギーとグレン、二作目に登場したヒスパニック系のルームメイト、レオなど一作きりのキャラも多いものの、今回は続編が確定しているので…といった感じです。イザベラにとって一番の問題は年齢かなぁ…って。十代の成長は早いですからね。

 

3D映像

 最初は3Dだ3Dだと身構えて観るわけで、おお、浮き出ているなぁとは思うのですが、10分もすればどうでもよくなります。

とどのつまり、どっちで観ても構わないでしょう。地元の劇場では吹替は3D、字幕は2Dの選択肢しかありませんが…。

 

サブタイトル

サブタイトルの『最後の騎士王』は北米では"The Last Knight”ですので。ほぼ直訳のサブタイトルとなりました。

今までは

  • 二作目の"Revenge of the Fallen"は『リベンジ』
  • 三作目の"Dark of the Moon"は『ダークサイド・ムーン』
  • 四作目の"Age of Extinction"は『ロストエイジ

…とまあ、短縮する傾向にありましたが(三作目は大して変わらんが…)、今回は日本語となり、オリジナルよりも長くなりました。カタカナでも『ザ・ラストナイト』の方が短い訳ですが、カタカナではknightとnightの区別が付きませんからね。


ただ、本編をみれば先述の通り『ケイドの大冒険』の方がしっくりきます。

トランスフォーマーシリーズは人間が全くと言っていいほど登場しないシリーズもあるぐらい本来はロボットが主役な訳ですが、実写劇場版は一作目からずっと人間が主役です。TFファンとしては不満の残る所ですが、全世界のマスに向けた映画である以上、致し方のない所なのでしょう。
まあ、それでも個性的に描かれているとは言うもののトランスフォーマー達はケイドが活躍する為の舞台装置に成り下がっている感が拭えないのはなんとかならんモンでしょうか。もっと言えばケイド自身もひたすらストーリーを追うだけの存在という感じがあります。

ストーリーのスケールのデカさに対し、主人公が矮小な人間である事、そして、詰め込み過ぎの内容がキャラクター描写を希薄にしてしまっているミスマッチが原因ではと思います。

スピーディーなストーリー展開はトランスフォーマーならではの筈ですが、キャラクターあってのトランスフォーマーでもあるのです。

 

タレントの起用

今回、前回に続いてヒロインのイザベラにタレントの桜井日奈子さんが声を充てました。
上手いとまでは言えないものの、棒という程酷くもないと言った感じでしょうか。

個人的にはこういった一過性の話題を意識したタレント起用は好きではありません。このキャスティンがこの後、ずっとついて回ってくるのです。アベンジャーズのキャスティングが非難轟々だったのは記憶に新しい所でしょう。

誤解のないように言っておきますと、こういったキャスティングは本人の希望よりも、芸能プロダクションや配給会社の思惑からでしょうから、本人に対しては何一つ思う所はありません。というか、名前なんて覚える気もないので直ぐ忘れます。

こういった起用は誰も得しないというが正直な所です。
同時期に公開されている『銀魂』ではヒロインの神楽を橋本環奈さんが直接演じている訳ですから、ファンなら確実に観に行くでしょうし、上手く演じられれば彼女を知らない観客に対してPRにもなるでしょう。
しかし、こういった洋画の吹替において声だけの出演ですから、然程動員に期待できるとは思えませんし、仮にいい演技ができたとしても本人のPRにもなっていないと思うのです。
タレントですから外面をPRできなければ勿体無いと思うのですね。
キュウレンジャーでエリスを演じた彩川ひなのさんのように、特撮の方がずっとマシでしょう。

あと、前作のヒロインであるテッサの声を宛てたのは中川翔子さんでした。公開当時、事前情報を知らないまま吹替版を観たのですが、タレントとは気付かない程の見事な演技力でした。これぐらい上手ければ不満もないのですが。

 

下ネタ

過去作よりかは控えめな印象ではありますが、あくまで過激さという点であって、数自体はむしろ多いぐらいじゃないでしょうか。そもそもケイドとヴィヴィアンの会話なんて大半が下ネタですよ。英国における大人の男女の会話はコンなモンなんですかね。

個人的に下ネタは好かないのですが、書斎であるものを探すシーンで意図せず第三者が勘違いするというシチュエーションは笑ってしまいました。

 

おわりに

取り留めもなくダラダラと色々と思ったことを書き連ねてみました。自分の勘違いも色々あると思いますがご容赦ください。

ムビチケはまだありますので、連休中にまた観に行こうと思います。